はじめに

今回の選考は本当に悩みました。
一番心を悩ませたのは、どれもがみすゞさんへの心のこもった手紙なので、この中から作品として評価することじたい申し訳ないという思いです。一方で、このような素晴らしい作品を多くのかたにご紹介し、思いを分かち合いたいという気持ちもありました。そこで今回は、ご紹介したい、思いを分かち合いたいという観点を重視し、賞を選ばせて頂きました。是非ご覧下さい。

優秀賞(3作品)

※掲載順は得点順ではありません

みすゞこれくしょんオリジナル萩焼と銘茶セット
ただ今制作中です。
お届けまでにもう少しお時間がかかりますので、楽しみにお待ちください。

松田愛さん(33歳)

[広島県]

選評

金子みすゞが書いた童謡詩は、未来へのメッセージであったとした作品が いくつかありました。 この作品は、金子みすゞの詩を我が子に、心の糧として与える事のできる 幸せを、母親からみすゞさんへの感謝の気持ちとして綴られています。 短い文中に多くの思いや愛をたくさん込められたことが、伝わってきました。
未来を担う子供たちの心は、言葉の力で育っていく。
未来へつながる、目に見えないけれど確かな力を感じました。
ありがとうございました。

感謝 感謝

みすゞ様

あなたの詩(うた)は私の心に届きます。
私は母として
あなたの詩を我が子たちに日常にとけこませて与えてあげたい。

いつしかあなたの詩は私の子どもたちの心で育まれ
色をまとい、鮮やかになって
私の子どもたちのそのまた子どもたちの心に届けられます。
きっとあなたの詩を心にもった子どもたちは
草むらにある命の営みも
海の向こうの沢山の命の叫びも
道に咲いた黄色い花のはかない命も
情報の中を流されていく失われた尊い命も
全部同じ鞄にたずさえて
一つ一つを大切に自分の詩で取り出すことができるはず。

あなたの詩には
命の輝きとはかなさと尊さが
同じ土壌で同じ花をつけ同じ光をうけて
感謝 感謝と咲き誇っている。

みすゞ様
あなたの詩が生きている限り
育まれている土壌は腐りはしないのだから
この国の子どもたちはきっと大丈夫。

あなたの詩に出会えてよかった。

片山ひとみさん(45歳)

[岡山県]

選評

金子みすゞの詩にある本質を見抜く感性の鋭さを心の目としてとらえ、 目の見えなくなったおばあさんの言葉を紹介することで、もう一つの 目は、私たちの中にもあるんだということに気づかせてくれました。
まるで、おばあさんがそこにいるかのようにぐいぐい引き込まれ、おばあ さんが心の目でみたであろう美しい光景が浮かんできました。
ありがとうございました。

もうひとつの目

みすゞさんへ
わたしの祖母は、盲目でした。
若い頃の無理がたたって、人生の途中から病で失明してしまったのです。
わたしが物心ついた頃には、白い杖をついていました。
しかし、祖母は、いつも、もうひとつの目で見、
幼い私に説明するのです。
鳥の色も、雲の流れも、花が何輪咲いているのかも識別がつかないのに……。
あの鳥は友を呼んでいるよ、この風なら雲が夕焼けだろうから、明日は晴れと
農家の人は喜んでいるよ、ああこの香りは菊が咲きそろったねと。
みすゞさんは、目が見えていたけれど、本質的なものを鋭く見抜く
もうひとつの心の目を研ぎすませていましたね。
わたしも、俗なものに目のレンズを曇らせること無く、
時には、わざとに目を閉じて、感性の目を働かせて生きます。
そのことに気づかせて下さって、本当にありがとうございます。
世界中の人へ、純粋なもうひとつの目を輝かせる大切さを
あなたの作品から届けられますように……。

ことりさん(35歳)

[大阪府]

選評

金子みすゞの詩にある美しさ、汚れのなさに対するとまどいが、丹念に描か れていると思います。出だしの「とても不安になった」と、「少しだけ悲し くなる」が印象的でした。
他の作品にも、金子みすゞの詩によって、世界はこんなにも美しいと気づか されたという方が何人かいっらっしゃいました。この作品は、金子みすゞの 詩の一編一編に入り込み、ファンタジーの世界を旅している様子がうまく表 現されていると感じました。
ありがとうございました。

美しいもの

みすゞさんの詩を、初めて読んだとき、私はとても不安になりました。
それはちょうど、暗闇になれた目に、光が突き刺さるように感じるような、
汚泥の中に咲く白い花に、どこか禍々しさを感じるような、そんな気持ちに似ていました。
私の心は、ずいぶんと暗闇や汚泥に慣れてしまっていたので、
みすゞさんが、すくいとって、かざして見せてくれた美しいものに、とまどったのです。
でも、それからすぐに、私は、みすゞさんの書いた、あらゆる言葉に夢中になりました。
みすゞさんの言葉は、まるで私の腕をつかんで持ち上げるように、
鳥の背中にのせ、太陽の光の筋に紛れ込ませ、
挙句の果てに一片の雪の中に閉じ込めさえしました。
その度に、私は、今まで気づきもしなかった、美しい光景にハッとさせられ、いつのまにか、心がすっと晴れていったのです。
みすゞさんの言葉をたどるとき、私はとても幸せな気持ちになります。
そして、なぜだかいつも少しだけ、悲しくなるのです。

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